グローバル教師と地球の子ども達

30カ国以上の子ども達を、アジアとヨーロッパのインターナショナルスクールで教えた教師が考える。これからの時代の教育とは?教師とは?子育てとは?

プロ意識は自分でつけていく

いつの間にか経験年数も重ね、いつの間にか管理職という地位について、若い教員たちと話をするにつけギャップを感じたり、「ったく最近の若いのは」的な意見を口走りそうになるのは世界共通のこと。 木曜日のハッピーアワーで飲み過ぎて金曜の朝に遅刻したり…

世界で最も長く働く日本の先生

日本の学校の先生は世界で最も長く働くそうです。1週間に平均53.9時間、1日10時間以上の勤務時間という計算です。平均で、ですよ。 それなのに、授業の準備時間は他の国と大差がありません。つまり、授業準備とは関係無いことに多くの時間を費やしている…

もっとフィードバックを

国際バカロレアPYPは、定まった教科書もなく、「テストで何点だったから評価はいくつ」というわかりやすい評定もありません。そのため、年3回(学校によっては2回)のレポートには、主にどのような点が伸びたのか、今後どのような点を伸ばすことが期待され…

休み時間の過ごし方

アメリカ人のSちゃんは本の虫。分厚い本をいつも側に置いています。授業中も机上には読みかけの本があって、やることが終わるとささっと読み始めます。ランチタイムは片手に本、片手にフォーク。休み時間には、庭の片隅で座り込んで読んでいます。 「休み時…

それもまたグローバル

カナダから来たRちゃんは、いつもシャツに短パン。髪型もおしゃれなショートカット。大好きなスーパーヒーローのキャップを斜めに被り、毎日颯爽とサッカーをしています。明るくて誰にでも分け隔てなく接するので、みんなから慕われています。パスポート上は…

スピーチとは プレゼンとは

4月29日、安倍首相は日本の総理大臣としては初めて、米国上下両院の合同会議でスピーチを行った。45分間の英語スピーチ、後に詳細な指示を書き込んだ手元の原稿を写した記事が米紙に報じられたが、それを見ても相当に研究と練習を重ねて当日に臨んだことが…

どう育てる?グローバル人材

NHKクローズアップ現代のトピックより。 どう育てる? グローバル人材 ~始まった大学の模索~ www.nhk.or.jp 全体を通して感じたのは、結局本気で何がグローバル社会で通用するものなのかわかっている人はごく一部で、それは残念ながら国全体の教育を牽引す…

お年頃との付き合いかた

日本では小学校6年生に当たる学年が、第二次性徴についての学習単元に取り組んでいます。 単純に保健体育的な知識を習ったり、理科的に動植物の繁殖や受精の仕組みなどの学習もしますが、これは「自分自身の変化にどう向き合うのか」ということが根底のテー…

算数は数字だけではない

国際バカロレアにおいて、初めに日本人やアジア人が戸惑うのは、算数の学習の仕方といってもいいでしょう。 例えば計算の仕方。なるべくたくさんの違った解答が求められます。 2年生レベルだと、12+27+41 の答えを出す時には 1)10+20+40…

いい学校とは

職業柄といいましょうか、知り合いの方やあるいは友人つながりの方まで、「相談に乗って欲しい」と言われることがあります。 元来、人の助けになることは自分の徳を積むことだと思っているので、ありがたく相談にのらせていただくのですが、最近多い質問で、…

バイリンガルであることは本当に「利点」なのか?

今の日本にこう問うた場合には、間違いなく皆が「もちろん有利に決まってる!」と言うでしょう。語学の習得は早ければ早い方がいい!と思われています。 しかしながら、つい最近までは、「あまり早期に外国語を取り入れることは、考える力に悪影響を及ぼす」…

頑張ったね、では評価にならない

国際バカロレアPYPでは、日本で言えば6年生の卒業時プロジェクトとして、エキシビジョンと言われる行事があります。全体テーマに沿って、自ら課題を見つけて、それを調べ、まとめ、発表するものです。要するにこれは、これまでPYPで培ってきた力をフルに発…

世界史を早めに学ぶ

日本の小学校は、6年生で歴史の勉強に入ります。社会科の学習は、1・2年生の生活科で学校のことや家族のことなど身の回りの社会のことについて学習し、3年生で地域の町のことを学び、4年生で都道府県に視野を広げ、5年生で日本の地理や産業を学んだ上…

Why is a banana yellow?

私の友人から聞いたお話。 友人の元同僚は、イギリス・ケンブリッジ大学卒。ケンブリッジといえば、チャールズ・ダーウィン、アイザック・ニュートン、スティーブン・ホーキングなどを輩出した、誰もが知ってるエリート大学。 入試には口頭試問があるという…

とにかく読む

読書は大切です。 国際バカロレアでも、読書の位置付けは非常に高いです。図書室の蔵書の充実度は、国際バカロレア校として認定され続けるためには重要な評価の1つです。 よく、DEAR (Drop Everything And Read 他の活動を一切やめて読書に集中する)タイム…

ごっこあそびで世界を知ろう

幼稚園のクラスで、ごっこあそびが発展して、「みんなで外国に遊びに行こう」という活動をすることになりました。そして、その行き先に日本が選ばれたため、私も協力することに。 旅行の計画を立てて、日本のことを調べて、パスポートを作って、スタンプを押…

それでも、やっぱり、暴力はいけない

「彼の言ったことは確かにあなたを傷つけたかもしれない。 あなたが頭にくるのもよくわかる。 でもね。 そこであなたが彼を叩いたり、押したり、蹴ったりしても、何の解決にもならない。 それどころか、すべての悪があなたのところに集まることになるんだよ…

退屈は素晴らしい

冬休みに入り、 さて子どもとどう過ごそうか・・・と考えている親御さんも多いのではないでしょうか。寒いけどディズニーランド?いや映画?でもどこも混んでるし、どこか子どもが退屈しないいい所はないかしら・・・ いいんじゃないでしょうか。退屈で。 昨…

ノーベル平和賞受賞者に敬意を表して

今日はこのことを書かなくてはならないでしょう。 マララ・ユスフザイさんとカイラシュ・サティヤルティ氏がノーベル平和賞を共同受賞、授賞式が行われました。あちらこちらで彼らの活躍については書かれているので、ここであえて説明する必要もありません。…

無くなる「書きかた」

先日、フィンランド教育省が「来年度より筆記体を教えるのをやめる」と発表しました。代わりにコンピューターでのタイピングに力を入れることになります。その方が実社会に役立つという判断です。普通にブロック体のアルファベットを書く練習もそれほど教え…

サンタが来ないこと

インターナショナルスクールに勤務していると、世界には様々な宗教が混在していることに改めて気が付きます。また、気をつかう場面にも遭遇します。 とりわけこのシーズンは繊細になります。街の中がクリスマスのデコレーションで輝き、子ども達がサンタから…

はじめに

日本での教員経験を経て、渡英。そこで英語を学び、インターナショナルスクールで教鞭をとるようになる。 教えるカリキュラムは国際バカロレア初等教育。日本の学習指導要領とは大きく異なる内容と指導法である。それだけではなく、教師としてのあり方や教育…

協働とデザイン

真似なのか、既存のアイディアの利用なのか お隣同士の子どもたちが書いた絵がそっくりになることがあります。時に「真似をしている、された」などと揉め事になったりします。親御さんからも、「うちの子はいつも誰それの真似ばかりして、個性がなくて」なん…

クリエイティビティを支えるデザイン

クリエイティビティ、創造性。「あの人はクリエイティブな人だ」と聞くと、なんだか、ちょっと他の人とは違った才能を持って生まれてきたようなイメージがありますよね。 また、「日本人は今ひとつクリエイティビティに欠ける」なんていう言葉、耳にしたこと…

思考力とデザイン

思考力、と一概に言ってもそれをどのように測っていくのかは難しいです。そもそも、考えるという作業はいったいどういうことなのかということに遡っていかなければなりません。 近年の教育の場では「思考」をいかに目に見えるものにしていくかという様々な研…

What future for education? 3週目

Week 3 - What makes a good teacher? 良い教師をつかさどるものは? 良い教師でいるよりも、より良き教師になろうとすることが重要である。 そのためには、よりよく教える力を身につけること。常に研修は必要である。 ・ベテラン教師が陥りがちな事象 ー決…

What future for education? 2週目

Week 2 - What is intelligence and does it matter? 知性とは何か。生まれつきのものなのか。 今週の講義では、「知性」を「能力」と「力量」に分けて考えた。 通常「能力」は学びの度合いをはかるもので、例えばIQやテストの点数などがそれらである。 実は…

What future for education? 1週目

教師として日本の外に出て、最も刺激を受けたのは、研修の多さである。多いと言っても、たくさん研修会に出さされるということではない。自分でどんどん見つけてくるのだ。 基本的に、海外では教師は職人のようなもので、自分で自分に力をつけ技を磨いていか…

校長先生からの手紙

イギリス小学校統一テストの結果に同封された、校長先生の手紙。 Headteacher's tender note to her pupils goes viralwww.theguardian.com 拙訳ですが。 チャーリー オーウェン君(おそらくこの部分は全員に変えて送っているものと思われます)へ 同封のKS2…

男は黙って?

Rは韓国と日本の両国籍をもつ男の子。 幼稚園の担任からの申し送りでは「シャイ、少々怒りっぽい」とありました。確かにあまり英語ができなかったということと、どちらかというと「男は黙って」という高倉健タイプの男児なので、自分から積極的に話すことは…