グローバル教師と地球の子ども達

30カ国以上の子ども達を、アジアとヨーロッパのインターナショナルスクールで教えた教師が考える。これからの時代の教育とは?教師とは?子育てとは?

とにかく読む

読書は大切です。
国際バカロレアでも、読書の位置付けは非常に高いです。図書室の蔵書の充実度は、国際バカロレア校として認定され続けるためには重要な評価の1つです。
よく、DEAR (Drop Everything And Read 他の活動を一切やめて読書に集中する)タイムというのを設けている学校を見かけます。例えば昼休みが終わって午後の授業が始まる前の15分、好きな本をじっくり読みます。日本でも朝読書タイムなどという活動がありますが、大きく違うのは、教室の中のどんな場所でも、どんな姿勢でも構わないというところです。ほとんどのクラスにはクッションがあって、ラグが敷いてある空間があり、そこでゴロンとしながら読む子もあり、戸棚の隙間に入り込んで読む子もあり、本棚で見つけた本が気に入ってその場に立ち尽くしながら読む子もあり。他に何も制限なく好きな姿勢で読むことを認めることで、読書への壁がなくなるという考えもその後ろにはあります。

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まだ自分で文字が読めなくても、自分で本を選ばせ、1人でじっくり読ませる習慣をつけます。絵本であれば、絵を見ているだけでお話がわかります。絵を見ながら、自分で話の展開を想像することは、実は非常に大事です。きっとここはこうなのだろう、という想像力ももちろんですが、物事がどう展開していくかを理解する推理力、場面の流れを追って全体の内容を理解する論理的思考、など培われる力はたくさんあるのです。読めないから読んであげるのではなく、読めないからこそ伸ばせる力を引き出してあげることが重要なのです。
たまに「読めないからいやだー」という子がいます。(日本人に多いのは気のせいでしょうか?)そういう子には、「字を読まないといけません、ってどこかに書いてあるの?こんなに素敵な絵があるんだから、絵を読めばいいじゃない?」と言います。読書は字を追うことではない、その物語に入ることなのだ、という感覚を身につけてほしいのです。
 
少しアルファベットが読めるようになったら、文章にどんな言葉があるのか見てみるように言います。例えば、SNAKEとあったら、「スネ・・・」ほどの音がわかれば、そこにある絵を見て「あ、これはヘビのことだ」と分かるわけです。そうすればそこから先のページに出てくるSNAKEは、全部わかってくるのです。これはフォニックスで英語を習う強みとも言えます。言葉が少し拾えるようになると、俄然楽しさが違ってきます。何度も同じ本を読み、面白さを味わうようになります。
 
お気に入りの本ができたら、あとはしめたもの。「またそれ読んでるの?」「もっと難しいの読んだら?」なんて言わず、隅から隅まで覚えるほどに読み込ませたら、きっとその本の表現や語彙もしっかりと身につくというものです。学校では、授業で自然と他の本に触れていくので、自分の読書タイムくらい徹底的に好きなものを読ませることにしています。
 
 
 
「最近本を読む時間がなくて・・・」と言われる方が多いです。1日15分、DEARタイムを作ってみてはどうでしょうか。とにかく読むことで得られるものが、大人にもあるような気がします。