グローバル教師と地球の子ども達

30カ国以上の子ども達を、アジアとヨーロッパのインターナショナルスクールで教えた教師が考える。これからの時代の教育とは?教師とは?子育てとは?

もっとフィードバックを

国際バカロレアPYPは、定まった教科書もなく、「テストで何点だったから評価はいくつ」というわかりやすい評定もありません。そのため、年3回(学校によっては2回)のレポートには、主にどのような点が伸びたのか、今後どのような点を伸ばすことが期待されるか、ということがびっしりと文章で書かれます。

 
テストの点数ばかりで評価しないとはいえ、評価が存在しないわけではありません。各単元にはもちろん、子ども達がどのようなことを理解するのか、どういう部分が伸びるのか、ということが細かく規定されています。
単元途中にも何度もある学習発表やレポートなどを総合的に見ていくのですが、その場で点数が出てこない分、自分の学びのどういった部分をもっと伸ばしたらいいかを子ども自身が理解するために、必要になってくるのがフィードバックです。
家庭でも、子どもが絵を描いたり文章を書いたりして持ってきた時、スポーツや習い事の時など、日常でフィードバックをする機会があるのではないかと思います。
 
このフィードバック、なかなか簡単なものではありません。というのも、つい、「ここをもっとこうしたらいいんじゃない?」というアドバイスになってしまうことが多いのです。アドバイスはもちろん大切なことなのですが、そればかりになると、知らず知らずに子どものやる気を奪いかねません。
さらに、いつもアドバイスばかりされ続けていると、「言われたことだけやる」「言われたことしかできない」というような受け身の学びになる可能性もあります。また、ただ「いいね!」だけで終わってしまったり、以前にも書きましたが「よくやったね」と褒めるのみだったりというのも、より伸ばすためのフィードバックとは言えません。
では、どうしたらいいのでしょうか。

f:id:ms-kaai:20150608174525j:plain

要約すると、フィードバックとは
-ゴール、目標に近づけるものであること
-具体的でわかりやすいものであること
-何をしたらよいかわかるものであること
-年齢や能力に応じたものであること
-すぐに与えること
-結果からではなく途中で与えること
-一貫性を持たせること
となります。
 
例えば、子どもが文書を書いています。横で見ていると、漢字の間違えがある。字が汚い。内容が薄い。など、まず改善点が目に入ると思います。そこでいきなり、「もっとキレイに字書けないの?」「もっと詳しく書いて」などと言ってしまうと、やる気もなくなりますよね。
代わりに、途中で一旦止めて「これはよく書けてるなあって思えるように、何かできることはない?」と聞いてみましょう。ここで「えー、ない」という答えが返ってきたら、「じゃあ、字はどう?漢字は大丈夫?」と少し具体的に自己評価基準を与えます。「あれ、この字間違ってたや」「そうそう、よく見つけたね」などと目に見える改善点について触れながら、「この部分の表現は様子がよく浮かんでいいね」と伸ばしたいポイントを指していく。「じゃあこの後は、字の間違いに気をつけながら、こういう風に様子のわかる書き方をもっとしていこうか」と導く。。。
という訳です。
 
最近は、ネットの発達のおかげであちこちで色んな人が「評価」しています。レストランやお店の口コミから、日本では政治に関しても自由に批評できます。でも時に、ふとした発言を捕まえて出口が見えないほどの批評や評価を浴びせる、いわゆる「炎上」も多くなってきている気がします。
大切なことは、相手を叩くことではなく、相手をよい方向に導くこと。誰もがわかっているはずなのでしょうけれど。。。